ナント音楽祭体験記
家族・仲間とにぎやかに 原田浩太郎 様
昨年(2004年)末に読売新聞紙上で実施した、「私とベートーヴェン」と題した作文の募集に寄せられた多数の応募作品の中から、最優秀作品に選ばれた東京都の会社役員・原田浩太郎さんが、ナントのラ・フォル・ジュルネに“特派員”として参加されました。
「私とベートーヴェン」コーナーには原田さんの作文も掲載中です。
〜読売新聞 平成17年4月4日付 より抜粋〜
今年の1月末、フランスの北西部にある港町ナント市に行った。もちろん「ラ・フォル・ジュルネ」を見るためだ。作文コンテストの応募を決意させたのは妻のおかげだし、ボクは今回、妻と1歳に満たない我が息子、我が母と行った。この旅行は最高の思い出となった。
ナントの人口の半分が聴きに行くというこの音楽祭は相当な盛り上がりであった。今年は「ベートーヴェンと仲間たち」というテーマで、会場には大きなベートーヴェンの顔がぶら下がり、場内の多くのブースにはベートーヴェン関係のグッズやCDなどが売られていた。
そんな中でまず印象的だったのが来場者たちだ。ジーパン姿の若いカップルや、手をつないでおしゃれに着飾った老夫婦、パンフレット片手に走り回る子供たちなど、老若男女みんなが楽しそうに会場内のそこここで行われるお目当ての演目を待っている。
この音楽祭は言わば「クラシックのバイキング」なのだ。おいしくて楽しくておかわり自由!同じ曲を何回も聴けて、その度に指揮者やオーケストラが違うので、お国柄で演奏のリズムやテンポが違っているのが素人のボクでも分かって楽しい。それにクラシックだからといって事前に指揮者の経歴や曲の内容なんて調べなくていい。ただ自分なりに「楽しめばいい」のだ。
たとえ誰かが間違えて楽章間に拍手をしてしまおうが、子供がぐずろうが、誰も文句を言わない。曲が終わればたとえ居眠りをしていても笑顔で拍手喝采。明るいのだ。なんだか会場にいるだけで浮かれてしまう。日本人の演奏家も何人か出ていたが、この港町で多くの人から拍手されている彼らを見ると「あっ、彼(彼女)はボクと同じ日本人なんですよ」と思わず自慢したくなってしまう。
演奏が終わるとまたさっきの光景だ。パンフレットを見て次の会場へ急ぐ人、家族や仲間と演奏の感想をつまみにわいわいとレストランで食事をする人・・・・・。ある夫婦がボクにこう言った。「ラ・フォル・ジュルネのいいところはね、親戚や仲間と1年に1回再会できることなのよ」と。そうか!そういう事だったのか!
このイベントは音楽を聴く以外に家族や仲間の交流の場でもあったのだ。ボクは小走りで妻と息子のいる会場へ走った。大都会の東京でもこのラ・フォル・ジュルネが同郷や親戚の交流の場になればいいと思った。ぜひ皆で出かけてみてはどうだろうか。今年の流行語は「ラ・フォル・ジュルネに行きませんか?」になることを願う。
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