太古の昔より、人が踊るところにはいつも音楽が奏でられていました。最も原初的な表現行為であるダンスは、常に音楽とともに民衆の中から生まれ、ごく早い時期からクラシック音楽に影響を与えてきました。

今回のラ・フォル・ジュルネでは、ルネサンスから今日まで600年間にわたるダンスと音楽の密接な関係をたどります。舞曲のワクワクするような躍動感と爆発的なエネルギーが、会場全体にみなぎることでしょう。

日本クラシック史上最大級となる舞曲の祭典を、どうぞお楽しみに!

アーティスティック・ディレクター
ルネ・マルタン

テーマビジュアルについて

ダンスの躍動感、舞曲の民族色ゆたかな旋律、そして音楽からみなぎる生きる喜びや祝祭感を、踊るヴァイオリニストと初夏の風に吹かれる色とりどりのテープで表現しました。またクラシックの舞曲がさまざまな地域の民衆の音楽から生まれたことにちなんで、地平線には世界各地のランドマークをシルエットでかたどっています。

足元には、日本のラ・フォル・ジュルネの開催地である東京国際フォーラム、びわ湖ホール、りゅーとぴあも並んでいます。

アーティスティック・ディレクター ルネ・マルタン

世界最大級のピアノ音楽祭〜巨匠リヒテルとの出会い

ルネ・マルタンは、経営管理学と音楽(打楽器、音楽史、記譜法、和声、電子音響音楽)を学んだのち、ナント市に芸術研究制作センター(CREA)を創設。1979年より同センターの芸術監督として、ナント市およびロワール地方で毎年、室内楽と宗教音楽を中心としたコンサートの企画制作を始めました。

1981年、南仏の豊かな自然に囲まれた小村ラ・ロック・ダンテロンに国際ピアノ音楽祭を創設。今や世界最大級に成長したこのピアノ音楽祭には、ラドゥ・ルプー、マルタ・アルゲリッチ、ミハエル・プレトニョフ、エフゲ二―・キーシン、ネルソン・フレイレ、ニコライ・ルガンスキーら世界一流のピアニストが幾度も出演しています。1988年、大ピアニストのスヴャトスラフ・リヒテルより仏トゥレーヌのメレ農場で行われる音楽祭を任されるようになり、二人は強い協力関係で結ばれるようになりました。マルタンはリヒテルとともに100以上のコンサートを企画制作。また、リヒテルの音楽祭「12月の夕べ」(モスクワ・プーシキン美術館)も指揮しました。

1986年、仏ラ・ボールでコンサートシリーズ「エルミタージュ=バリエールでの楽興の時」を開始し、リンゼイ弦楽四重奏団、イザイ弦楽四重奏団、アラン・ムニエ、レジス・パスキエ、ジャン=クロード・ペヌティエ、ロラン・ピドゥ、ジェラール・コセ、カプソン兄弟、ジャン=エフラム・バウゼら、現代最高の室内楽奏者たちを招聘。2年後の88年には、キリスト教修道院としては西欧最大のフォントヴロー王立修道院の芸術監督に就任。10のコンサートホールを有するこの修道院には指揮者のフィリップ・ヘレヴェッヘ、ウィリアム・クリスティ、パウル・ファン・ネヴェル、クリストフ・スペリングらが率いる宗教音楽専門の名楽団を迎えています。

ナントから始まった音楽の革命

マルタンはナントを拠点に、並行して日本、ブラジル、イギリスでのコンサートツアーの企画制作など海外にも活躍の幅を広げていきました。これらの経験をもとに1995年、さらに大胆な試みを実現させたのです。従来のクラシックコンサートのイメージを根底から覆す画期的な音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」の開催です。マルタンはこの音楽祭で毎年230以上のコンサートを開催して、クラシック音楽の作曲家たちの名曲を聴衆に届けています。2014年、ナントで20回目を迎えたラ・フォル・ジュルネには、14万4千人を超える音楽ファンが集いました。

ヨーロッパにおける評価が高まるなか、2000年からポルトガル・リスボン、2002年からはスペイン・ビルバオ、2005年には東京、2009年には金沢とブラジル・リオデジャネイロ、2010年には新潟、びわ湖、ポーランド・ワルシャワ、2011年には鳥栖でも開催され、いずれも大成功を収めて地域活性化の文化モデルとして注目されています。

高まる評価、そして未来へ

2005年に東京でラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンが開催され、初年度にして総来場者数32万人を記録。日本でのラ・フォル・ジュルネは現在、新潟・びわ湖を加えた3都市で同時期に開催されており、その画期的なプログラミングと各演奏会の質の高さが常に高い評価を得ています。

このほか、マルタンはローマのヴィラ・メディチのジェネラル・ディレクターを務める舞台装飾家リシャール・ペドゥッツィの音楽顧問を任され、また、仏ニーム劇場のジェローム・デシャンおよびマシャ・マケイエフの音楽顧問も務めています。

2005年には、フランス文化コミュニケーション省より国家功労勲章を受章。同年3月、ポルトガルのジョルジュ・サンパイオ大統領より、外国人に贈られる最も名誉ある勲章、“エンリケ王子勲章”を贈られました。2010年には、ショパンの生誕200年を記念してワルシャワにてラ・フォル・ジュルネを開催し、大成功を収めた功績を称えられ、翌年にポーランド政府より文化勲章を授与。また、2013年には、日本における国際文化交流への貢献を称えられ、文化庁長官表彰(文化発信部門)を受けました。