ナントでドラム缶を聴く

なんだそれ?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、「Place du Graben」のステージに、1日2回くらいドラム缶が並ぶのですよ。こんな具合に。

202_steel1.jpgこれ、楽器です。ご存知の方は「ははぁ」とお気づきかと思いますが「スティール・ドラム」「パン・スティール」などと呼ばれる打楽器。東京にもやって来る、レネゲイズ・スティール・バンド・オーケストラは、今回のナント・ラ・フォル・ジュルネでも大人気。彼らが演奏を始めると、コングレの1F広場がこうなります。

202_steel2.jpgもう、向こう側に行くのが困難。抜け道もなく、実は僕も一度、この群衆の中にのみ込まれてまったく動けなくなり、インタビュー取材に遅れそうになったくらいです。それほど、この楽器の音、そして彼らの音楽が衝撃的!


202_steel3.jpgスティール・ドラムというのは、ドラム缶の底をへこませて中華鍋みたいな形にし、さらにそのあちこちを月面のクレーターみたいにへこませて、叩くとドレミファ……の音程が出るようにした楽器なのです。叩いた音はとても柔らかな金属音で、「こゎーん」とか「ころーん」とか、そんな感じ(……でいいのかな)。これを木琴みたいに(トレモロ奏法で)叩いたりしながら、音楽を作っていきます。

202_steel4.jpgで、曲はもちろんシューベルトなんですが、彼らにかかるとまさに「トロピカル・シューベルト」。でもそれだけではなく、たとえば「魔王」が恐ろしいくらいに悪魔的になり(もう、叩く叩く、一心不乱に叩く)、「未完成交響曲」が「シューベルト・工場ライヴ」みたいになっています。まさに衝撃であり、あっけにとられて笑劇。


202_steel5.jpgもう、階段に座ってでも見たいらしい。


202_steel6.jpg放送メディアの人たちも仕事そっちのけで見たいらしい。


202_steel7.jpg演奏前のセッティングも自分たちでやる。


202_steel8.jpg演奏後の片づけが、まるでコンサートとは思えない風景になっています。

なんとかリーダーのレネゲイズさんに話を聞きたいと思うものの、とにかくこの群衆なので、まったく彼をつかまえるどころか、近づけさえもしません。最終日に、またトライします。

(yamao)


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