コルボ、P.アンタイ、カントロフ、ケフレックに直撃インタビュー!

今日は、数々の魅力的なコンサートやイヴェントの合間を縫って、バッハ解釈の世界的な権威たちに直撃インタビューしてきましたので、そのダイジェストをお届けします。

 

まずは、日本でもおなじみの巨匠指揮者コルボ。

彼は70歳を超えた高齢にもかかわらず、今年のナントに5日間毎日出演中です。

しかも、マタイ受難曲と、ロ短調ミサ曲という大曲を2回ずつ振るというんだから驚き!

LFJ初の試みとなる2時間を超える演奏時間でも、大ホールは連日超満員です。

「お疲れじゃありませんか?」と尋ねてみたら、「大好きなバッハを毎日演奏できて本当にうれしい。演奏するたびに元気になっていきますよ」と余裕のコメント。

日本のファンにメッセージをお願いしたところ、「ミサ曲や受難曲だからといって、コンサート前に予習する必要はないですよ。

むしろ知識なしで感性で聴いた方が新鮮でおもしろいかもしれません。

ただ、受難曲にはキリストの受難と復活のストーリーがありますから、聖書の大まかな筋だけは事前におさえていた方がより楽しめると思います。

日本人は神聖な音楽に対する敏感だから、きっと気に入ってもらえますよ」という嬉しいお言葉に、取材班一同、すっかり感激してしまいました。

 

コルボインタビュー.jpg続いても、古楽の大権威P.アンタイに直撃。彼は今回、指揮とチェンバロの両方で活躍中です。

彼には、先日のブログでもご紹介したナント版ハルモニア杯のことを尋ねてみました。

「バッハをロック風などにアレンジすることについて、どう思われますか?」という質問に返ってきた答えは、「聴いていないので明言はできませんが、原曲をいじることに個人的には賛成しかねます。

演奏家は、作品に命を吹き込み、真実の姿を伝える伝道者であるべきというのが私の意見です」という、いかにも古楽の権威らしい厳しいコメント(汗)。

でも、だからハルモニア的な発想がまちがいというわけじゃなくて、そもそもバッハをはじめクラシック音楽には様々な考え方があって、それがひとつの音楽祭のなかに共存できるのがLFJの素晴らしさだと思うんです。

 

アンタイインタビュー.jpgちなみに、先日ハルモニア会場で見かけたケフェレックに同じ質問をしてみたら、「まずはこれが第一段階だと思いました。ただ、第二、第三のステップが必要で、出演した若者たちには、バッハのスコアを読んだり、オペラを観たりして研鑽を積んでほしいです」と辛口ながらも優しさにみちたコメントをいただきました。

あと、このインタビューの最後に、「バッハにまつわるケフェレックさんの最高の音楽体験は?」とうかがったところ、「父が亡くなる前日、私に遺した最期の言葉が"バッハ万歳"だったことです。

あなたの質問で、久しぶりのそのときのことを思い出しました、ありがとう」と仰っていた光景を、私は一生忘れないと思います。

 そしてもうひとつ、日本ではヴァイオリニストとしての方が知名度が高いカントロフが、今回は指揮者としてLFJに初参加しているんです。彼のインタビューでも、バッハにまつわる最高の思い出を尋ねたところ、「グレン・グールドが私を見出してくれたことです。

若い頃、モントリオールのコンクールで4位になったとき、1~3位に関する彼のコメントは数行ずつだったのに、4位の私には3ページ近く、素晴らしい評を述べてくれたんです。本当に嬉しかった...」

 こうした貴重なコメントの数々は、もしかすると名演奏の記憶すら超えて、私たち取材チームの「最高のバッハ体験」になっていくような気がします。 

今日はほかにも数々の素晴らしいコンサートや、刑務所への慰問コンサートなど、まだまだ書きたいことがたくさんあるのですが、もう少し感動を整理してからお伝えしたいので、日本に戻ってからあらためて書くことにします。

 2月12日には東京の記者会見が行われ、出演者や演目も発表になります。

今年も冬のナントから春の東京へ、熱狂の日のカウントダウンがいよいよ始まります!

皆さん、大いに盛り上がっていきましょう!!

 

(W)

 

 

 

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