作品の世界にひたる

 歌曲というのは、人間の声で歌われるので、大ホールで聴くよりもこぢんまりとしたホールで聴くのが好きだな~と思っていました。そしてそれが〈トーマス・マン〉G409でマーラーとシューマンの歌曲を、テナーのハンス・イェルク・マンメルさんとピアニストの三ツ石潤司さんというコンビでの演奏でした。
 マーラーの歌曲ってあの壮大な交響曲を書いた作曲家とは思えないほど、繊細な音楽ですよね~。「さすらう若人の歌」「リュッケルトの詩による歌曲集」、どの曲もとっても味わいが深くて、何度も何度も聴きたいと思う作品で、すっかり心を奪われてしまいました。
 シューマンといえば、生涯で歌曲の年と呼ばれる時期に名作を数々生み出しています。中でも有名な「詩人の恋」、これは歌だけでなく、ピアノもとても伴奏とは思えないような表現力が魅力ですよね~。マーラーの作品だってそうだったのですが、特にこの曲で歌手のマンメルさんの力量と、ピアニストの三ツ石さんの力量がぶつかりあい緊張感が高まっていたのか、そりゃあもう息を飲むような大変美しい演奏でした。終わったあとはもう感嘆のため息。はあ~......ほんとにすばらしかったなあ......。

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