音楽の父の父に迫る

バッハは「音楽の父」と言われていますが、じゃあ「音楽の父の父」はいるのでしょうか。
という訳で、バッハの先輩に当たる作曲家達を集めた、個性派チェンバロ奏者の中野振一郎氏による貴重なコンサートに潜入。プログラムにはフローベルガー、ヴェックマン、ケルル、ブクステフーデといった名前が並びます。ご存じの方いらっしゃいますか?

バッハ以前の音楽となると、もはやグレゴリオ聖歌くらいしか思い付かない筆者ですが、バッハ自身の「音楽の父」がいたのですねえ。それも、それぞれ個性豊かで四者四様。そしてバッハに繋がるのですが、こうして年代順に追っていくと、やはりバッハは偉大な存在なんだという事を再認識しました。

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終演後、中野氏に突撃インタビュー。今回の選曲について伺いました。
「毎年、自分の好きなテーマで演奏会をやっていて、先日取り上げたのが17世紀のアーリーミュージックだった。そこで今回、LFJのお話を頂いて、バッハへの源流として大先輩達の作品を取り上げる事にしたんです。それとドイツでは、暗い雰囲気を演じる=演奏する事に美徳があるとされているんです。この時代は特にそれが表れていて、暗い作風が多いでしょ?そういうところも面白いと思ったので」
その、バッハの先輩方の魅力は?
「もともとはイタリアから入って来たもので、ドイツで確立されたのが音楽。それも、かなりの勘違いで伝わっているんです。だからこそ、三十年戦争後の混乱で、どこの宮廷も競って立て直しを図っている中、それぞれキャラの違う音楽が出来上がった。例えば、フローベルガーならすごく即興的だし、ケルルなんかは「もうええやん」と思うくらい装飾音ばっかり入ってる。そこが魅力ですね。また、即興的に聞こえても、その中に一定のルールがあったり、そういうものを追っていくのが面白いです。
でも、やっぱりバッハって偉大だよね(笑)」
とても勉強になるコンサートとお話、ありがとうございました!

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