真摯なエル・バシャさん

4日ホールA最終公演はジャン=ジャック・カントロフ指揮、シンフォニア・ヴァルソヴィアとアブデル・ラーマン・エル=バシャによるプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番。
初日はチャイコの2番だったし「2晩続けて2番でしめますホールA!」なんて思っていたら、気品を携えたエル=バシャさんが登場。そして昨日の2番同様にあまり馴染みのないこの2番を、気品あるお姿で弾き始めました。
ト・コ・ロ・が!この曲ったら、とっても激しい運動量!!エル=バシャさんの指が鍵盤を駆け回る駆け回る!!右へ左へピンポンパンポンチャン、交差してピンポンパンポンポンピンポンパンetc...しかしエル=バシャさん、最初のお姿そのままの気品を持ってこの曲を弾き切ったのです。しかも知的で安定感のある音楽作りはブラボー!!!!
終演後は舞台裏で「すばらしかった!ありがとう!」とお互いを称え合っていました。
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「私はラフマニノフに最も心惹かれます。プロコフィエフの作品も好きですね。ロシアの作曲家ではこの2人がやはり好きですね。」とエル=バシャさん。
若いピアニストの皆さんへのアドヴァイスをお願いすると、「すべての分野の事柄に興味を持つことです。すべてです。音楽においては、技術を磨くだけではなく哲学を勉強することも大切です。それから、文学も。ピアニストはテクニックに走りがちですが、それだけでは十分ではありませんし、音楽においてはテクニックが重要なのではありません。テクニックとは音楽を表現するための手段なのです。楽譜を尊重して、作品の精神を生き生きと表現することが大事なのではないでしょうか。」とのこと。
とても穏やかで真摯かつ紳士なエル=バシャさん。お話を聞かせていただき、何だかこちらの背筋もピンと伸びました。ありがとうございます!

おおおっ!?最終日ホールAの最終公演はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番!!!
ホールAは2番がお好き?

【こぼれ話】
このコンサート始まる前にちょっとしたハプニングが!!オーケストラの団員が舞台へ出て来ても指揮者のカントロフさんがなかなか出て来ない。もしやカントロフさんストライキ?体調不良?楽屋で迷子?ハラハラドキドキしながら待つ事数分。
ちゃんと出て来てくれました。(ホっ)
実は舞台裏では「めがねめがね」と忘れた眼鏡を取りに楽屋や駆け戻った団員の1人を待っているカントロフさんがいたのでした。優しいカントロフさん「僕が出て行って客席が僕を注目している間に、彼を舞台に入れるといいよ。ちょっと待っていよう」と。
そういう事だったのですね。

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